脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 榎本美穂
1期卒業生の榎本美穂です。私は卒業後、獨協医科大学埼玉医療センターに入職し、希望した脳神経外科に配属となりました。その頃、病棟に脳卒中リハビリテーション看護認定看護師が誕生し、リハビリテーション看護の実践が始まりました。新人の私は、リハビリはセラピストが行うものだと思っていましたが、看護師の力で患者のADLを向上させることができることを実感し、専門性の高い看護を実践できるようになりたいと認定看護師になりました。現在はSCUに所属し、急性期の患者に関わっています。
急性期は、廃用症候群やそれによる合併症からの重症化を回避するため、早期離床が重要です。状態が安定したらできるだけ早期から身体を起こし、生活の中で座って過ごす時間を増やすことを意識して関わっています。背中をもたれさせないで開放にし、両足底は床に接地させ、頚部を自力で保持して座る背面開放座位は、意識の覚醒に効果的でこれも実践に取り入れています。合併症のひとつである誤嚥性肺炎の予防には口腔ケアが重要です。普段何気なく行っている口腔ケアですが、誤嚥性肺炎予防の他に口腔機能の向上を図る目的もあり、口から食べることを支援するケアとしても重要で力を入れています。さらに、脳梗塞の再発率は1年で10%、5年で35%と高く、退院後の再発予防を目的とした生活指導も実践しています。脳卒中看護は発症~退院後の生活を含めた全ての時期に関わるため、常に退院後の生活を見据えて、患者にとって何が必要か考えながら日々活動しています。実践以外にも認定看護師には相談・指導の役割もあります。自分自身の知識・技術の更なる向上を図り、自らの実践を通してスタッフへの教育・指導に携わり、脳卒中看護の質の向上を目指しています。
寝たきりの患者が、意思疎通が図れる、車椅子に座ることができる、経口摂取ができるようになる…そんな回復していく姿をこれからもたくさん見ていきたいです。