獨協医科大学看護学部同窓会

獨協医科大学病院救命救急病棟•救命ICU看護師 栃木県ドクターヘリフライトナース 加納悠多

卒後、獨協医科大学病院救命救急病棟•救命ICU病棟で勤務し、現在も病棟業務を行いつつ栃木県ドクターヘリのフライトナースとして病棟業務や現場活動に従事しています。
私は、幼い頃から看護師を目指していたわけではありません。
看護師になるなんて、高校3年生の夏まで考えもしていませんでした。

ですが、現在も行っているスポーツトレーナーとしての活動や幼少期より行っていたラグビーフットボールという競技が看護師という仕事を教えてくれました。
今日の日本国では中学、高校の部活動において、医師や医療従事者が部活動に帯同することが少ない現状です。
私の所属していた学校でも、医療従事者が帯同する機会はわずかでした。
ある夏合宿、私達は長野県で毎日何試合もの練習試合を熟し、トレーニングに励んでいました。
そんな中、仲間の一員がラグビー競技中に頭部を強く打ち付け、意識を無くし自発呼吸が停止する重症事故が起きてしまったのです。私はそれを目の前で見ていました。
その時の衝撃的な出来事を今でも鮮明に覚えています。その後、ドクターカーが現場に来場、気管挿管などの処置を行いドクターヘリで搬送になりました。
処置後、仲間は回復し現在も元気に過ごすことが出来ています。
この出来事が、私にとっての転機でした。
その時、スポーツの現場において医療者がいることこそが、選手や学生の安全を確保する上で大切だと感じました。

当時はスポーツの現場で、活動しているのは理学療法士や柔道整復師が大半であり、看護師がスポーツの現場で活動していることなんてほとんどなかったのでは無いかと思います。
そんな中、ある医師とトレーナーより、これからの時代は救命の知識とスキルを持ち合わせた看護師が現場にいることがスポーツの世界を変えることになると聞かされ、現在に至ります。
私の知る限り、ドクターヘリに従事しつつ、スポーツトレーナーして活動している看護師は日本にいません。救命の看護師がいたことで、救命できたと感じる事例はこれまでに何件も経験しています。
私はこれからも病院や救急現場での知識やスキルをスポーツの現場と繋げ、重症事故が起きない、死亡事故が起きない、安全で楽しい競技ができる環境を整えるのが役割であると思っています。